みどりの歯科クリニック

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【連載34】ギリシャ神話とアイリス 4.トロイ戦争で活躍するアイリス


ギリシャとトロイの10年戦争
トロイの木馬で知られるこの戦争は、紀元前13世紀、ギリシャにミケーネ文明が栄えた頃に起こりました。
総勢10万、1200隻近くのギリシャ大遠征軍が、トルコ西岸のトロイに上陸します。
対するトロイ軍は強固な城壁内に籠城し、戦いは10年の長きに及びました。

ホーマーの叙事詩イリアス
その最後の年の光景を描いたのが、ホーマーの叙事詩イリアスです。
全24歌のうち第5歌では、ギリシャの英雄ディオメデスが主役です。

しかしここでは、メッセンジャーと呼ばれる女神アイリスの、幅広い活躍をご紹介しましょう(*1)。

女神アフロディーテを救い出す
戦場でトロイに味方した女神アフロディーテは、ディオメデスに槍で手を突かれます。
負傷し激痛に襲われた彼女は、パニックに陥(おちい)り戦線から退きました。

すると疾風の如くアイリスが現われ、彼女を戦場から救い出したのでした。

オリンポス山に送り届ける
アフロディーテが戦車に乗ると、アイリスが隣に座り手綱(たずな)を握ります。

2頭の馬は鞭(むち)を合図に、疾風の如く走り出します。
そしてまたたく間に、12神の住み家である、険しく切り立つオリンポス山に着いてしまいました。

こうしてアイリスは女神アフロディーテを無事、トロイの戦場からギリシャの家まで送り届けたのでした。

(注記)
(*1) Homer, Iliad 5, Translated by A.T.Murray(1924).

 

 

2020-08-02 08:00:00

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【連載34】ギリシャ神話とアイリス 3.スウィート・アイリスは女神の花


ギリシャ神話の女神アイリス
ギリシャ神話の世界には、「アイリス」と言う名の女神がいます。
愛らしい彼女は、主役ではありませんが、色々なお話しに登場します。

使者として活躍
彼女は最初、神々の女王であるヘラの、専属使者(メッセンジャー)でした。
しかし後には、ヘラの夫で主神でもある、ゼウスの使者なども務めます。

虹にゆかりある女神と花
彼女は黄金の翼を羽ばたかせ、天界から虹を渡ってやって来ます。
このことから彼女は、ギリシャ語で「虹」を意味する、「アイリス(Iris)」と呼ばれています。

さらに、虹のように多彩に咲く花もまた、アイリスと呼ばれるようになりました(*1)。

女神のように愛らしい花
「スウィート(sweet)」と言う語には、「愛らしい、香りが良い」などの意味があります。

数多いアイリスの中でも、「スウィート・アイリス」と呼ばれる種こそが、
愛らしい女神アイリスに由来する、とも言われています。


(注記)
(*1) かつて米国アイリス協会(AIS)では、「虹を追う(Chasing rainbow)」という品種が賞を獲得したこともあります。
 

 

2020-07-26 08:00:00

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【連載34】ギリシャ神話とアイリス 2.華麗なスウィート・アイリス


もう一つのギリシャのアイリス
ギリシャには「ドワーフ・アイリス」の他に、もう一つ重要なアイリスがありました。

それが 「ダルマチアン・アイリス」、または「スウィート・アイリス」とも呼ばれる種で、 学名は "Iris pallida(アイリス・パリダ)" です。

「スウィート・アイリス」が自生する
その名のように、原産地はダルマチア沿岸部、現在のクロアチアです。

しかし、自生地はかなり広範囲に及ぶそうなので、
ギリシャにも自生すると考えられます。

スウィートな香りも魅力
ところで、アイリスの魅力は、華やかな花だけではありません。
その根が発する高い香りは、古くから人々を惹(ひ)きつけて来ました。

なかでもスウィート・アイリスは格別で、香水などの重要な成分となって、世界中で親しまれています。

子孫が世界中で咲き誇る
数多いアイリスの種のなかで、クラシックなアイリスとして人気があるのが、スウィート・アイリスです。

また一方では、原種となって数々の新品種を生み出しています。
代表格のジャーマン・アイリスは、多彩な色どりや華麗な花形から、日本でも評価が高まっています。


 

 

2020-07-19 08:00:00

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【連載34】ギリシャ神話とアイリス 1.女神が摘んだ小人のアイリス


アヤメ属の花たち
アヤメ属の花は世界で約300種、日本には約10種あります。

日本で最も一般的なのは、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの3種です。
この3種をまとめて「アヤメ」、と呼ぶことも珍しくありません。

アイリスがギリシャ神話を賑(にぎわ)す
アヤメ属の花はギリシャ神話にも登場し、英語表記で "Iris(アイリス)"とされています。
そのうちの一つが、後に冥界の女王となるペルセポネが、冥界の王に略奪される場面です(*1)。

うら若い彼女は牧草地ニューサで、色々な花を摘んで遊んでいました。
そこにはスイセン、ヒヤシンス、クロッカスなどと共に、アイリスの花もありました。

ギリシャ・アッティカのアイリス
日本の場合と同じで、ギリシャには幾種ものアイリスがあります。

その中の一つ 「ギリシャ・アイリス」では、学名(Iris attica)の後部に、
首都アテネ周辺を意味する「アッティカ」、の語が見られます。

神話に登場したのは、小人のアイリスだった?
このいかにもギリシャらしいアイリスこそが、女神ペルセポネが摘んだ花の一つだ、と推測されています。

この花のもう一つの名前は 「ドワーフ・アイリス(dwarf iris)」、すなわち 「小人のアイリス」です。
花の高さはわずか5~10cm、日本のアヤメ属が30~100cm程度ですから、正にかわいい小人です。

(注記)
(*1) Hesiod, Homeric Hymns, Epic Cycle, Homerica, Translated by Evelyn-White,H.G.(1914); THE HOMERIC HYMNS, II. TO DEMETER.


 

 

2020-07-12 08:00:00

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【連載33】ギリシャ神話とアネモネ 5.まとめ

【連載33】では、ギリシャ神話とアネモネのお話しをしました。

皆さまには、愛と美の女神アフロディーテ(ヴィーナス)や、真っ赤に咲くアネモネに興味を持って頂ければ幸いです。

みどりの歯科クリニックは、これからも皆様と共に歩んで行きたいと思っております。
どうぞお気軽にお立ち寄りのうえ、ご遠慮なくご相談下さいますようお願い致します。

 

2020-07-05 08:00:00

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【連載33】ギリシャ神話とアネモネ 4.人々と共に生きるアネモネ


野に咲くアネモネの花
イスラエルは、地中海東部でレバノンの南隣にある国です。
人々はどこにもある野草、アネモネの美しい花を見ては、摘み取ったものでした。

アネモネと人との共生
ところが1960年代、そのアネモネが絶滅の危機にある、と分かったのです。

自然保護協会(SPNI)は、アネモネを摘まずに見て楽しむ習慣を、人々に浸透させようとしました。
その努力が実を結び、イスラエルの地には、アネモネと人々が共生する社会が出来ました。

春を知らせる赤い祭り
毎年春になると、イスラエルの人々は、アネモネの開花を待ち焦がれます。

アネモネが真っ赤な花を咲かせる、1月中旬から2月末、人々はお祭り「赤い南」に繰り出します。
今ではこの「赤い南」は、イスラエル最大のお祭りとも言われています。

アネモネはイスラエルの国花
2007年、国花を選ぶ投票でシクラメンが第1位となり、アネモネは僅かな差で第2位でした。

その後2013年には、SPNIによりさらに大規模な投票が行われ、
第1位アネモネ(得票率28%)、2位シクラメン(23%)、3位パープル・アイリス(12%)となりました。

こうして現在、アネモネはイスラエルの国花とされています。


 



 

2020-06-28 08:00:00

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【連載33】ギリシャ神話とアネモネ 3.赤く染まるアドニス川


アネモネは地中海東部の花
アネモネは原産地である地中海東部で、沿岸地帯を中心に分布しています。
国で見ると、ギリシャからトルコ、シリア、レバノン、そしてイスラエルに至る地域です。

国名レバノンは白い雪に由来
そのなかでレバノンは、暑い中東にありながら、冬には山々が真っ白に雪化粧します。
首都ベイルートから北東に70kmほど進むと、そこはもう山岳地帯の村アフカ(Afqa)です。

アドニスの名を持つ川
村の大きな洞窟からは、川が流れ出ています。
その名はアドニス川、あのギリシャ神話の美少年、アドニスの川です。

冬になると激しい雨が降るため、この川に赤い土砂が流れ込みます。

赤く染まった川の岸にアネモネが咲く
赤くなった川を見た人々は、「アドニスの血だ」と言います。
アドニスが赤い血を流して死んだ2月、アドニス川は毎年赤く染まります。
そして岸辺には、バターカップが真っ赤な花をつけるのです(*1)。

(注記)
(*1) アネモネはキンポウゲ科の中の1つの種です(キンポウゲ科イチリンソウ属アネモネ(Anemone coronaria))。
一方、英語圏ではキンポウゲ科(Ranunculaceae)を、"buttercup family(バターカップ科)"とも呼びます。
この場合、アネモネはバターカップ科の中の1つの種です。


 



 

2020-06-21 08:00:00

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【連載33】ギリシャ神話とアネモネ 2.アドニスがアネモネに変身


お話しの続きは「変身物語」
古代ローマで大人気だった詩人、オウィディウスの代表作は「変身物語(メタモルポセス)」です(*1)。
これはギリシャ・ローマ神話の集大成とも言われる名著で、後のシェイクスピアなどにも大きな影響を与えました。

ここではその変身物語に沿って、前回お話ししたアドニスの死の続きをご紹介しましょう。

神々の酒ネクターをふりかける
女神アフロディーテは、深い悲しみに打ちひしがれながら、
愛するアドニスの血の海に、甘い香りのネクターをふりかけました(*2)。

すると彼の血だまりは、直ぐに泡立ち始めました。
それはあたかも、雨で水たまりが泡立っているようでした。

真っ赤な愛らしい花が湧き出す
1時間もしないうちにアドニスの血から、真っ赤な愛らしい花が湧き出てきました。
それはちょうどザクロの花のようです。

なぜって、ザクロは花を咲かせると、堅い皮に包まれた果実を付け、
その中に種を隠しているのですから。

はかなさがアネモネの魅力
しかし、アドニスの花が人々を惹(ひ)き付けるのは、
風に弱くはかない命のためで、「アネモネ」の名の由来も、そこにあります(*3)。

手で揺らせたりすると、その細長い形状を保ち切れず、すぐに弱い茎の部分から折れてしまいます。

(注記)
(*1) Ovid, Metamorphoses Book 10,  by Brookes More, Boston, Cornhill Publishing Co. 1922.
(*2) ネクターと言う語を分解すると、(nektar=nek(死)+tar(克服力))で、ギリシャの神々が飲む不老不死の酒、を意味します。
(*3) アネモネ(anemone)と言う花の名は、「風」を意味するギリシャ語"anemons"に由来します。
英語では"anemone"(属名)または、"windflower"(コモン・ネーム)と呼ばれます。


 



 

2020-06-14 08:00:00

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【連載33】ギリシャ神話とアネモネ 1.美少年を愛する女神たち


愛の女神の激怒が美少年を生む
その昔、アッシリアの国に、王テイアスと王女スミルナがいました(*1)(*2)。

王女は愛の女神である、アフロディーテを崇拝しませんでした(*3)。
女神はそのことに激怒し、王女が父である王を愛するように、変えてしまいました。

やがて、王と王女の間に男の子が生まれました。
その子アドニスは生まれた時から、この上ない美少年でした。

アドニスを愛する2女神
そのあまりの美しさに、アフロディーテは彼を密かに、女神ペルセポネに預けることにしました(*4)。
ところが、一目アドニスを見たペルセポネも、すっかり彼に魅せられてしまいました。

主神ゼウスが仲裁する
アドニスをめぐって2女神が争うなかで、ギリシャの主神ゼウスが、仲裁に入りました。
そして1年を3つに分け、アドニスと2女神に次のように命じました。

「最初の3分の1はアドニスが1人で過ごし、次の3分の1はペルセポネと一緒、残り3分の1はアフロディーテと一緒に過ごしなさい。」

ところが、アドニスは最初の3分の1もアフロディーテと過ごしたので、ぺルセポネは不満を募らせました。

アドニスの死
そして結局は、アドニスは狩りを楽しむなかで、イノシシに突き刺され死んでしまいました。
これが、紀元前5世紀以前の古代ギリシャの文献を基にした、ギリシャ神話(*1)の概要です。

一方、古代ローマの詩人オウィディウスは、神話に娯楽性を加味した名著「変身物語」を残しています。
そこには上のお話しの続き(?)がありますので、次回にご紹介しましょう。

(注記)
(*1) Apollodorus, The Library, VolumeⅡ, by J. G. Frazer, London, William Heinemann Ltd. 1921, p.87(Ⅲ,14.4).
(*2) アッシリアは、チグリス・ユーフラテス川の上流で、現在のイラク北部地域です。
(*3) アフロディーテ(Aphrodite)は、ギリシア神話における愛と美の女神で、ローマ神話のヴィーナスと同じです。
(*4) ペルセポネ(Persephone)は、ギリシア神話における冥界の女王で、主神ゼウスの娘です。


 



 

2020-06-07 08:00:00

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【連載32】アドリア海を行く 16.まとめ

【連載32】では、アドリア海とエーゲ海のお話しをしました。
皆さまには、その美しい海と西欧の古代文明に興味を持って頂ければ幸いです。

みどりの歯科クリニックは、これからも皆様と共に歩んで行きたいと思っております。
どうぞお気軽にお立ち寄りのうえ、ご遠慮なくご相談下さいますようお願い致します。

 

2020-05-31 08:00:00

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