みどりの歯科クリニック

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人間だもの

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【連載20】人間だもの 8.まとめ

【連載20】ではノーベル経済学賞を受賞したセイラー教授、そしてナッジの活用のお話しをしました。

皆さまには、人間の非合理的な行動、そして社会生活に浸透し始めたナッジ、などに関心を持って頂ければ幸いです。

みどりの歯科クリニックは、これからも皆様と共に歩んで行きたいと思っております。
どうぞお気軽にお立ち寄りのうえ、ご遠慮なくご相談下さいますようお願い致します。

 

2018-03-11 12:00:00

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【連載20】人間だもの 7.より良いナッジを目指す

ここでは、前回ご紹介した納税者をナッジする実験を、もう少し詳しく見てみましょう(*1)。

文面が異なる4種類の督促状
この実験では、14万人の納税者に4種類の督促状を送りました。

その第1は、ナッジの無い従来の督促状です。一方、
第2~4は、社会規範を利用して色々な文面でナッジした督促状です。具体的には、

第2では、「英国人10人中9人が納期までに納税しています。」の文を加えました。
第3では、さらに 「同じ郵便番号の人々の大半は、既に納税済です。」という文も追加しました。
そして第4では、「同じ郵便番号の」の部分を、「同じ街に住む」に置き換えました。

督促状の効果を比較する
右図に実験結果を示します。

ナッジ無しに比べて、ナッジありの方が督促効果が大きいことがわかります。

「英国人10人中9人が納期までに納税しています。」の文は、督促効果を約5%高めました。
さらに、「あなたと同じ街に住む人々の大半は、既に納税済です。」を加えると、合計で約15%も高まりました。

注目したいのは、「(全)英国人の中で--」、だけでなく、「同じ街に住む人々の中で--」を加えた方が、督促効果が高まることです。

英国人にとって1番つらいのは、「身近な小集団中で、数少ない未納者の1人として取り残される。」ことのようです。

(注記)
(*1) Cabinet Office and BIT(2012): Applying behavioural insights to reduce fraud, error and debt, Gov.uk, 6,Feb.2012.
 

 

2018-03-04 12:00:00

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【連載20】人間だもの 6.ナッジが納税率を改善する

ナッジが社会を変える
セイラー教授は、「人間の認識能力には限界があるため、その行動の合理性も限定される。」と主張します。
そこで、「より合理的で望ましい方向に、人々を誘導する方法」として、ナッジが提唱されました。

人々を導こうとする場合、これまでは法律で強制したり、お金の力を使ったりしました。
しかしナッジは違います。

強制するのではなく、人々が⾃ら進んで『望ましい選択』をするように、誘導するのです。

今、このナッジを利用して、社会を望ましい方向に誘導しようとする試みが、世界各地で進んでいます。

英国では行政に貢献
米国で生まれたナッジを、国家の政策や行政に導入したのが、英国のキャメロン首相でした。

首相は、「ナッジ理論」の活用を推進するため、内閣府に「ナッジ・ユニット」を創設しました(*1)。
これを学術面から支える諮問委員の中には、セイラー教授の名前もあります。

以下では、ユニットの大きな成果の1つ、納税率の改善についてご紹介しましょう(*2)。

社会規範を利用してナッジする
英国の人々は、強い道徳観と正義・公正心を持ち、それを周囲の人々と共有しています。
この強い社会規範(social norm)の中で、人々は「税金は絶対に納めるべきもの」と考えています。

この状況を上手く利用して、ナッジで納税率を改善する実験が行われました。
そこでは、「他の多くの人々が既に納税済」であることを、未納者に知らせて納税を促します。

具体的には、「英国人10人中9人が納期までに納税しています。」という文を、督促状に加えました。
さらに、「あなたと同じ街に住む人々の大半は、既に納税済です。」の文も追加しました。

その結果、従来の督促法と比べて、最大15%程度まで納税率を改善できたのです。

(注記)
(*1) 「ナッジ・ユニット」の正式名称は、'Behavioural Insights Team (BIT)' です.
(*2) Cabinet Office and BIT(2012): Applying behavioural insights to reduce fraud, error and debt, Gov.uk, 6,Feb.2012.
 

 

2018-02-25 12:00:00

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【連載20】人間だもの 5.そっとひじで突く(ナッジ)

ナッジで望ましい選択肢に誘導する
セイラー教授の大きな業績の1つがナッジ(Nudge)です(*1)。

このナッジとは、「人の注意を引くために、そっと肘(ひじ)で突く(誘導する)」ことです。
人に強制するのではなく、⾃ら進んで『望ましい選択』をするように、人を誘導するのです。

他の選択肢を禁止したり、お金の力で誘導するのは、ナッジではありません。

生活の中で活躍するナッジ
今では、私たちの日常生活の幅広い分野で、ナッジが活躍し始めています。
その例として、教授は次のようなものを上げています。

1.野菜を選びやすく陳列して健全な食生活に導く
大学のビュッフェの陳列棚では、野菜類を手前に、そして肉類は奥に並べます。
個人の選択を尊重しつつ、自然に野菜類を選択するよう、学生たちを誘導するのです。

2.建物空間を改善して人々の交流を推進する
大学の建物の3階から5階までが、広い吹き抜け構造にしてあります。
吹き抜けとその周囲の階段が大きな社交空間となり、人々の交流を活発にするのです。

3.道路の白線が安全運転を促す
ミシガン湖畔を走る道路は、シカゴが誇る風光明媚なドライブ・ウェイです。
しかし、急カーブではスピードを出し過ぎると危険なため、白線で示す車線幅を狭くしてあります。
運転者は狭くなった車線を通過しようと、無意識のうちにブレーキを踏みます。

(注記)
(*1) Richard H. Thaler, Cass R. Sunstein(2008); Nudge, Improving Decisions about Health, Wealth, and Happiness.

 




 

2018-02-18 12:00:00

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【連載20】人間だもの 4.グルメの健康を守る

おいしさに惹(ひ)かれる
パン屋さんの前を通ると、優しくおいしそうな香りがしてきます。
その香りに誘われて店に入ると、つい焼き立てパンを買ってしまいます。

またお昼時に飲食街を歩くと、店の前の長い行列が気になります。
「思わずその列に並んでしまった。」という方も少なくないでしょう。

レジ待ちの間に もうひと品!
お腹を空かしてスーパー・マーケットに行ったら、要注意です!
気がつくと買い物かごが、余計な食物で一杯だったりします。

さらにレジの順番待ちのなかで、つい近くのお菓子にも手が出ます。
甘くて塩味が効いた、ジャンク・フードの誘惑にも惨敗です。

人々の健康を守る
ジャンク・フードとは、高カロリーでビタミン等の栄養素が少ない食品のことです。
欧米では肥満につながるとされ、健康への影響が危惧されています。

そして、このジャンク・フードを規制しようとする動きがあります。
一方、「人々に自主的に健康を守ってもらおう」とする試みも始まりました(*1)。

後者は、規制ではなく人々の自由な意思により、ジャンク・フードの代わりに果物・ナッなどの、健康的食品を買ってもらうものです。

これについては、次回お話ししましょう。

(注記)
(*1) F.M.Kroese et al.(2015): Nudging healthy food choices: a field experiment at the train station, Journal of Public Health, Vol.38,No.2, 17,July 2015, pp.e133–e137.

 




 

2018-02-11 12:00:00

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【連載20】人間だもの 3.サンク・コストの誤謬

今回は、セイラー教授と親しいカーネマン教授らによる、興味深い実験をご紹介しましょう(*1)。
それは、北米西岸の学生約200人を対象に行われました。

実験:災難に遭った後、チケットを買うか?
初めに、学生たちに入場料10ドルの演奏会に行った時を想像してもらいます。
そして、会場入口で次の2種類の災難に遭った場合、どう行動するかを尋ねました。

(1) 2種類の災難
・ケース1:お金をなくした! チケットを買おうと財布の中身を調べたら、10ドル札が1枚無くなっている。

・ケース2:前売りチケットをなくした! ポケットに入れたはずの、前売りチケット(10ドル)が見つからない。

(2) チケットを買うか?
上の災難に遭った時、入場に必要なチケット(10ドル)を買うか否か、を尋ねました。
学生たちの回答をまとめると、次の通リです。

・お金をなくした! ------------買う 88%, 買わない 12%。
・前売りチケットをなくした!--買う 46%, 買わない 54%。

心の家計簿が次の行動に影響した
なくしたものが、お金か前売りチケットかで、その次の行動が大きく異なりました。
その原因は「心の家計簿」にある、とカーネマン教授らは言います。

お金(10ドル)をなくしても、その損失が「心の家計簿」のチケット予算に与える影響は僅かでしょう。
そのため、この災難の後でも、大半の人が「買う」と回答しました。

一方、前売りチケットをなくした後にチケットを買う場合は、その費用の扱い方が問題です。

学生たちは「2つのチケットの合計(10+10=)20ドルをチケット費用とした。」 と教授は説明します。
その結果、約半数の学生たちはチケットが高過ぎると考えて、「買わない」と回答したのだそうです。

サンク・コストの誤謬(ごびゅう)
前売りチケットをなくすと、その代金はもう戻ってきません。
これは埋没費用、またはサンク・コストと呼ばれるものです。サンク(sunk)とは「沈んでしまった」の意味です。

このサンク・コストは、その次の行動を選択する際には、考慮しないのが合理的だと言われています。

従って、チケットを買うか否かを考える時、前売りチケット(10ドル)は考慮すべきでなかったのです。

学生たちが、前売りチケット代金も含めて20ドルとしたのが、誤りの始まりだったようです。

(注記)
(*1) Amos Tversky and Daniel Kahneman(1981): The Framing of Decisions and the Psychology of Choice, Science Vol.211, p.453—458.

 

 

2018-01-21 12:00:00

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【連載20】人間だもの 2.メンタル・アカウンティング

3つの心理的特性
セイラー教授は、人間の3つの心理的特性が、経済行動に影響を与えるとしました(*1)。

1.限定合理性:人には認識能力に限界があるため、行動の合理性も限定される。
2.社会的選考:人は自分の利益だけでなく、他人の利益や社会の公平性にも配慮する。
3.自制心の欠如:人は誘惑や衝動に直面すると、自分の行動を完全にコントロールするのは難しい。

メンタル・アカウンティング
教授の研究で特に注目されるのが、限定合理性の中の一分野、メンタル・アカウンティングです。
「心理的勘定体系」とか「心の家計簿」などとも言われます。

私たちは日々の生活の中で、無意識のうちに自分の行動を見直しながら、お金の動きを心に記録しています。

そこでは自分のお金を色分けし、汗水たらして得た「労働報酬」と、ギャンブルなどで得た「あぶく銭」が、はっきり区別されます。

お金の色で使い方も変わる
お金を使う時の行動様式は、お金の色によって大きく異なります。

「労働報酬」では、予算を考慮しながら慎重にお金を使っていきます。

しかし、「あぶく銭」となると状況は一変します。
「悪銭身につかず」と言うように、そこはもう理性よりも感情の世界です。

もしもここで、浮かれた心をコントロール出来れば、もうあなたは立派な合理的人間かも?

(注記)
(*1) The Royal Swedish Academy of Sciences(2017): Press Release;The Prize in Economic Sciences 2017, 9 October 2017.

 

 

2018-01-14 12:00:00

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【連載20】人間だもの 1.「人間・相田みつを」に魅せられる

非合理のセイラー教授にノーベル賞
「賞金はできるだけ非合理的に使おうと思う。」

ノーベル経済学賞受賞が決まった2017年10月、リチャード・セイラー教授はこう言って周囲を笑わせました。

これまでの経済学は、「人は合理的に意思決定する。」ことが大前提でした。
しかし教授はこれをくつがえして、人の行動を心理学の視点から解明しようとします。

今回の受賞は、「経済学と心理学の統合」への貢献が評価されたものです。

「人間・相田みつを」に魅せられる
2009年、セイラー教授は来日するとすぐに、相田みつを美術館 を訪ねました(*1)。
そして 「感動して思わず『相⽥みつをTシャツ』まで買ってしまった。」そうです。

お気に入りの詩は、

    『 しあわせは いつも じぶんの こころが きめる 』、そして、

    『 つまづいたって  いいじゃないか  にんげんだもの 』  です。

相⽥みつをが描く人間は、まさに、教授が経済学で想定する「⼈間」そのものだそうです。

人間には「心」があるので、これまでの経済学で言う「完全に合理的な意思決定をする人」にはなれません。

よく判断を間違えるし、感情に振り回されたり二日酔いにもなる、「非合理的」なのが普通の人間です。

このごく普通の人間に着目するのが、セイラー教授らが主導する行動経済学の世界です。

(注記)
(*1) 日経ビジネスON LINE(2009):行動経済学の本質、それは「にんげんだもの」にあった! リチャード・セイラー米シカゴ大学教授が語る新著と「相田みつを」,広野彩子, 2009年10月6日(火).

 






 

2018-01-07 12:00:00

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